卵子提供のリスクを考える

卵子提供 リスク

昨今、度々ニュースを賑わせる不妊治療の新しいカタチである卵子提供。実際そのリスクはどのようなものなのでしょうか。また、体外受精との比較では、どちらが良いのでしょうか。

 ここでは、卵子を提供する側(ドナー)と、卵子を提供される側(レシピエント)それぞれについてどのようなリスクが想定されるのかを紹介します。

卵子ドナーの抱えるリスクは?

 卵子ドナーとは、卵子を提供してくれる第三者のことであり、複数の条件を満たしている若く健康な女性のことですが、卵子ドナーが抱えるリスクにはどのようなものがあるのでしょうか。

 まず1つ目に、身体的なリスクが挙げられます。卵子を提供するためには身体から卵子を取り出す必要があるため、採卵手術を受ける必要があります。採卵手術自体は難しいものではなく、高度生殖医療による治療でも通常行われているものであり、安全性においては大きなリスクはありません。ただ、手術である以上は身体への負担がかかることを理解しておかなければなりません。

 次に、社会的なリスクが考えられますが、卵子提供を受ける側の夫婦が卵子ドナーを選ぶためにドナーのプロフィールを見ることはあっても、そのドナー個人を特定できる情報が公開されることはありません。一方でドナーも、卵子を提供した先の夫婦の個人情報等を知ることはできませんので、卵子ドナーには、個人情報流出という観点からは社会的なリスクはないといっても良いでしょう。

 また、現在では日本国内の法の未整備や社会的認知の低さから、卵子提供の治療は基本的には海外で受けることになります。そのため、卵子の提供を受ける側の夫婦の希望によっては周囲にも秘密にして卵子の提供を受けることも可能であり、卵子提供を受けたこと自体を周囲に隠すことも可能です。代理出産とは異なり、卵子の提供を受けた妻が妊娠・出産することになるため、法的な「産んだ者が実母」という定義もクリアできます。

 最後に、金銭的なリスクについて心配される方がもいらっしゃるのでご説明しますが、結論からいうと卵子ドナーには金銭的な負担は発生しません。卵子を提供する際に受ける手術費用、そしてその手術を海外で受ける場合の渡航費や現地滞在費などの必要経費は、依頼者である卵子の提供を受ける夫婦側が支払います。また、卵子を提供すると報酬という形で、卵子ドナーは善意で協力したその謝礼として60万円から100万円を受け取ることができます。

卵子提供による出産は高齢になる程リスクが高まるの?

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 1980年代においては、30歳を超えてからの妊娠出産はすでに高齢出産と言われていましたが、現在では女性の社会進出や晩婚化などの影響もあり、世界基準に合わせて35歳を超えてからの妊娠出産が高齢出産と言われるようになりました。

 下のグラフからもわかるように第一子を産む平均年齢も30歳を超えるようになりましたが、年齢が高くなるにつれて妊娠しにくい体になるため、長期間治療を繰り返すことにつながります。それでも結果が伴わないために最後の手段の不妊治療として卵子提供という選択肢がありますが、卵子提供を受けたからといっても確実に100%妊娠することができるとは限りません。

 しかし、(https://nccd.cdc.gov/drh_art/rdPage.aspx?rdReport=DRH_ART.ClinicInfo&ClinicId=219&ShowNational=0)上のURL元であるハワイ州ホノルルにあるクリニックの資料を見てみると、”All ages are reported together because previous data show that patient age does not materially affect with donor eggs(訳:以上に示したデータはすべての年齢を一緒に示している、なぜなら卵子提供を受けた患者の年齢はその成功率に実質的に影響しないからだ。)” とあります。つまり、一般的な自己卵での治療とは異なり、卵子提供による生産率は卵子提供を受ける妻の年齢によって左右されないのです。

卵子提供と体外受精、どちらの方が良いの?

 卵子提供による不妊治療も体外受精および顕微授精も高額な不妊治療ではありますが、体外受精、顕微授精はどちらも一定の条件を満たしていたら政府から補助を受けることが可能です。そのような点を考慮すると30代のうちの不妊治療においては助成金が出る体外受精および顕微授精を行うことも推奨できるでしょう。

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 しかし、これらの方法の大きなデメリットとして年齢を重ねるごとに成功率が落ちてしまうことが挙げられます。下のグラフは日本産婦人科学会ARTデータブック2015版より示している、体外受精や顕微授精などの高度な不妊治療のことを指すART(Assisted Reproductive Technology)による妊娠率、出産率、流産率です。グラフを見てわかる通り、30代後半になるとみるみるうちに妊娠率は低下し、流産率が上昇しています。そして40歳を超える頃にはついにその率は逆転します。やはり高齢になるにつれて卵子に遺伝子異常が起きる確率が上がってしまうので、生産率も落ちてしまうのです。

 一方、そのほとんどのケースにおいて海外のクリニックで施術が行われる卵子提供による不妊治療は政府による助成金が出ません。しかし、先ほども述べたように卵子提供による妊娠率は卵子を提供される患者の年齢に左右されることがありません。また、卵子提供の成功率は、米国の成功率の高いクリニックの場合80%を超えます。その点を加味すると、高齢になればなるほど卵子提供による不妊治療が費用対効果の点から優位と言えるでしょう。

最終的には慎重な自己判断を

 最後に、今回はリスクの観点からARTによる不妊治療と卵子提供による不妊治療を見てきましたが、どちらにも長所短所があるため、不妊の原因やご夫婦の置かれている環境などを考慮に入れた上で、慎重に治療方法を選ぶのが良いでしょう。

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